カリキュラム

背景

「社会の構想・実装力」を実践的に修得するプログラム

社会構想研究科では大きく「社会や組織のグランドデザインを構想・実装する能力」と「社会貢献と経済活動の好循環を実現する能力」の両者を実践的なカリキュラムを通じて修得することができます。

なかでも大きな特徴は、グループワークと継続的な調査およびディスカッションにより具体的な組織の抱える課題について解決策の提言を行う「グランドデザイン構想実践/社会起業構想実践」(1年次)と、各学生が個別に設定した研究テーマに関する論文の完成に向けた指導を行う「グランドデザイン構想研究/社会起業構想研究」(2年次)から成る「社会構想探究科目」です。

本研究科の院生は、1年次にはいずれかの「構想実践」のなかで1年間を通じて社会調査に基づく課題の構造化・理論やデータに基づく解決策の検討を行い、成果をまとめた「構想計画書」の内容を「社会構想プロジェクト報告会」にて発表します。2年次では1年次に得た知見や能力を定着させるため、自らの構想する社会や組織のグランドデザインや社会起業のあり方を「社会構想報告書」にまとめる「構想研究」に取り組みます。

こうした学びを通じて、本研究科の養成する高度専門職業人がもつべき一連の能力を修得することができます。

体系的なカリキュラムと2年間の流れ

社会構想研究科の教育課程は、1年次前期において、必修科目を含む基礎科目・専門基礎科目と、社会構想探究科目のうち「グランドデザイン構想実践」または「社会起業構想実践」を選択必修で履修し、本研究科での学びに必要な基本的な概念と社会的背景、議論や実践の動向、研究の方法論のほか、グランドデザインの構想や社会起業の実装に必要な一連の能力を実践的に修得することを想定しています。

続く1年次後期には、引き続き基礎科目、専門基礎科目、一部の専門科目のほか、前期から引き続き「グランドデザイン構想実践」または「社会起業構想実践」を履修します。後期授業の終了後、2月には「社会構想プロジェクト報告会」が開催され、「グランドデザイン構想実践」および「社会起業構想実践」において1年間にわたって検討し、「構想計画書」にまとめた提言を発表する機会を設けます。

 そのうえで2年次には、一部の専門基礎科目や専門科目を引き続き履修するほか、社会構想探究科目のうち「グランドデザイン構想研究」または「社会起業構想研究」を選択必修で履修します。両科目では、1年次に身につけた能力をもとに学生各自の課題を探究し、「社会構想報告書」の形式にまとめてゆくなかで、そうした能力の定着を図ります。社会構想報告書の作成にあたっては、2年次中間報告会(8月)、2年次中間審査会(11月)を経て、2年次最終審査会(2月)での合格を目指します。

※ 本研究科で2024年度に開講を予定している授業は下表の通りです。

 

履修モデル

リカレント教育の効果を高めるためには、実務と両立可能な履修計画を検討することが必要不可欠です。本研究科ではすべての入学者を対象に担当教員との履修相談の機会を設けており、個別の事情に応じた履修のカスタマイズを実現しています。ここでは、上記で述べた「3種類のモデルケース」それぞれに対応する標準的な履修モデルをご紹介します。

※ それぞれの履修モデルは本研究科の修了要件を充足する形で作成されています。

グランドデザイン構想(国内)

地域社会やデジタル社会、福祉社会といった概念で表現される現代社会の諸側面を社会学をはじめとする社会科学の視点から適切に理解することは、効果的で実現可能なグランドデザインを構想するための基盤となります。また、それらを支える公共哲学の多様な視座や、パブリック・アフェアーズをはじめとした「社会実装」のための具体的な方法論を学ぶことで、従来の考え方にとらわれないアイデアを練り上げ、実現するための専門性を高めることができます。

グランドデザイン構想(グローバル)

紛争や環境問題などのグローバルリスクが山積する状況において社会や組織のあり方を考えるためには、国際社会学に関連する理論的視座を修得するとともに国際問題を分析し解決するための思考枠組みを身につけることが必要不可欠です。ほかにも異文化間コミュニケーションの理論と実践の蓄積や、国際安全保障に関する専門性を修得していくなかで、国境や文化を越えた社会のダイナミズムを捉えるための能力を養うことができます。

社会起業構想

社会的起業をはじめとする経済活動を通じて社会課題の解決に貢献するためには、社会課題それ自体への理解はもとより、経営学や産業社会学をはじめとする知見や、ステークホルダーとの「対話と協働」を実現するための方策を修得することも必要不可欠です。さらに、実在の社会的企業に関するケーススタディや、社会起業家の分析を継続的に行うことは、自らの構想する社会的起業の実現可能性と価値を高めていくことに繫がります。