実務における採用・広報の本質

採用広報・採用マーケティングという言葉が出てきて久しく、有効求人倍率の上昇や、人手不足による企業の人材確保の深刻化など、各企業が採用領域において様々な課題を抱えています。アグリゲート型求人検索エンジンや、多様な採用ITコンテンツの出現によって、採用担当者に求められるものは日々変化しています。

採用広報での課題意識

私は自社が全国に出店している店舗人材の採用に従事していますが、現職に就いた当初の採用活動は、学校訪問などの昔ながらのオフライン活動がメインでした。しかし、採用領域もIT化が進み、いよいよオンライン領域での母集団形成が求められていました。
そこで考えたのは「ウェブで自社の求人広告を上位表示させることができさえすれば採用課題は解決するのだろうか。(広告会社に上位表示依頼を行うだけでよいのだろうか)」ということです。自社のウェブ求人広告にクリックを集め母集団を獲得できたところで、それは入口の強化にすぎず、自社にとっても応募者にとっても有益な状態にはならないのではと考えました。入社した後の活躍の場(配属店舗や会社)はどのような場であることが望ましく、また、入社した方に活躍・定着して頂くにはどのような仕組みが必要で、そのために何を行えばよいかという課題意識があったからです。
こうして、自分自身がどのように採用業務と向き合い、どういったスキルを身に付けて業務を行うべきなのかを考えるようになりましたが、それに対する答えは一向に出ず、モヤモヤしながら実務に取り組んでいました。
そんなとき受講した宣伝会議の「採用マーケティング講座」で、配布された資料の中に社会情報大学院大学のチラシを見つけました。組織論や広報、PR、マーケティング、そして採用マーケティングに至るまでを体系的に学ぶことができるという案内を見て、藁をも掴む思いで説明会に参加。そして説明会で実務的なテクニックを学ぶのではなく、本質的かつ普遍的な考え方を学ぶことができるのではと感じたため、入学を決意しました。
入学当初は、仕事との両立が可能なのか、自分が大学院での学びについていけるのか非常に不安でした。しかし同級生や先輩、教員の先生方、事務局員の方との出会いとアドバイスによって、学ぶことの重要性や楽しさを感じる事が多くなり、次第に院生生活の楽しさが不安を凌駕していきました。

物事を多面的に捉える

普段接することがない業種の方々と出会えたことも、大きな刺激でした。同じ学びの仲間として、授業やゼミで先生も含めて討論を繰り返したことが本当に大きな学びとなっています。私は同じ業界の方が大学院にいなかったこともあり、全てが新鮮且つ学びの多いものでした。
大学院生活を通し、物事の捉え方や見方も広がりました。これは卒業した後でも私に大きな影響を与えてくれています。日々の業務においても、専門性と普遍性、主観的視点と客観的視点の両面を意識するようになりました。これからも物事を多面的に捉え、今までに見えていなかったことを発見して、実務に活かしていきたいです。

中尾 奈津美

中尾 奈津美

(なかお なつみ)
美容サービス会社勤務
2021年修了